至近距離


ナッツハウスに着いたが、店はクローズドになっていた。
「あれ?ナッツいないのかな?」
カウンタに置手紙があった。

こまちと一緒にかれんの家にいってくる
帰りはくるみと一緒に送ってもらうから夕飯は適当に食べておくように

と書いてあった。
「こまちがナッツを連れて行ったみたいだ」
「みんないっちゃったなんてずる〜い!」
「今日僕一人だけど夕飯食べてく?」
「あ、うち今日お父さんもお母さんも仕事で遅いから食べていこうかな」
のぞみの両親は共働きだからひょっとしたら結構一人で食べることが多いのかな?とココはこの時考えた。
「お茶入れるから上で待ってて」
「私も手伝うよ」
「気持ちだけありがたくもらうよ。絶対焼けどするから上で待ってて」
のぞみはむ〜そんなことないもん、といいながも上へ行った。
ココは手際よく紅茶を入れると3階まで運んだ。
のぞみはソファーにもたれかかって寝ていた。

(ええええええええ、5分程度しかたってないよな?)
仕方ないからココはのぞみの隣に座ってしばらくのぞみの寝顔を見ていた。
(ひょっとしてのぞみもあまり寝てないのかな・・・僕も眠いかも・・・)
実際、ココものぞみもギクシャクしはじめてからあまりちゃんと眠れた日がなかった。
そのうちココものぞみに寄りかかって寝てしまった。

はっとココが目を覚ましたときあたりは夕日でくすんだ黄金色に染まっていた。
(何時・・・?)
時計をみると18時半だった。
目は覚めたけどまだぼーっとしていた。ふと横をみるとのぞみはまだ寝ていた。
(よく寝てる・・・)
ココは自分が半分まだ寝ているという自覚がないままのぞみの額と頬にキスをした。
そのままココの前髪がのぞみの額に触れるほど近くなったとき、

(自重してね♪)

なぜか頭の中にりんの声が響いた。
そのときはじめてココの目がはっと覚めた。
(あ、危ない!)
ココはのぞみから離れて立ち上がった。
(それにしても・・・)
「りんのやつ・・・!」
低くごちた。
そのまま自分の頭をかきながら夕食の準備をするために下におりていった。

そのときのぞみは既に、額にキスをされた時点でに目を覚ましていた。
(りんちゃん!ココに何をいったの!?何をいったのよぉぉぉぉぉ!!!)
顔を真っ赤にして目を開けた。
(しばらくしてから下にいこうっと・・・)

その後二人で夕食を食べてココはのぞみを家の近くまで送っていた。

「ココ、今日はごちそうさま」
「いいえ、今度はもっと違う物をごちそうできるようにするよ」
ふふっとのぞみは笑った。
「充分おいしかったよぉ!ねぇ、耳貸して!」
「うん?」
ココが少し屈んだ。のぞみはココの耳に自分の口を寄せて、頬にキスをした。
「のぞみ!?」
ココがびっくりしてのぞみをみるとのぞみはべーっ!と舌をだして言った。
「ココのエッチ!」
「!」
また明日ね!
といってのぞみは走っていってしまった。

(お、起きていたのかー!)

自重してよかった(?)とつくづく思った小々田だった。



fin(15/june/2009)
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