side N


シロップと日曜にうららの新曲発表会に行くことになったんだけど、ココには絶対に言うなって言われた。
シロップがココを嫌っているのを知っているから一応わかった、って言っちゃったけど実は全然自信がない!(自分を一応わかっているつもり)
言わないように!と思うとなんだかなんとなーくココを避けるような感じになっちゃうんだけどこれもなんか変!
でも今はなんとなくココに会いたくないっていうのがあるから余計なのかもしれない。
実はくるみはミルクだったっていうのがわかってすごくほっとしたんだけど、あたりまえだけど正体がわかったからにはくるみもナッツハウスに住むわけで。
ミルクのときはなんとも思わなかったのにくるみになったとたんにこんな風に思うのはおかしいんだけど、
私、なんだか変。

多分、ミルキィローズの強さを見てしまったからかもしれない。
ココを守るのはずっと私だけって思っていたから。(みんなもいるのにこんな風に思うのも変だけど)

最近ちょっとため息が多かった気がするからシロップが付き合ってくれるって言ってくれたとき本当にうれしかった。

土曜日カフェでいつも通りお昼をしていると(私立なので土曜半ドン有)明日の話になった。
「うららとくるみはいないのね」
「うららは明日の準備なんじゃないですかね?くるみはナッツのお昼の支度するってあわてて帰って行きましたよ」
「のぞみさん、明日はごめんなさいね、ほんとみんな家の用事でいけなくって・・・」
「仕方ないですよぉ!うららもおしえてくれなかったし、急にわかったことだったから明日いって驚かせてきますね!」
「頼むわねのぞみ。そうだ、花束か何か持っていったほうがいいかしら?」
かれんさんがそういうとこれは!とりんちゃんがはりきって答えた。
「そうだ、私ミニブーケ作るよ。それなら邪魔にならないだろうし、商売にもなるし!800円で一人200円ほどカンパお願いしマース!」
「え、そんなに安いの?いっそのこと私出すからバラの花束でも・・・」
「かれんさーん、逆にうららがひいちゃいますよ・・・ていうかこういうのはキモチが大切!のぞみ!午後暇でしょ?私が店番してるあいだ双子の面倒もみてよ」
「ん〜わかった〜」
「そういえばあんた、明日結局一人でいくの?」
「んーん、明日シロップといってくるよ」
「シロップと?」
そんな話をしてたとき、突然ココが会話に入ってきてすんごいびっくりした!

「明日どこかへ出かけるの?」

やばい!シロップには口止めされてるから言えない!
「ううん!ちょっとね。んじゃ私先に用意したいから帰るね!」
これじゃあなんか逆にあやしいよぉ!
「あ、まって!私もいくよ!そんじゃお先にー!」
「また月曜日にね〜」
こまちさんとかれんさんの言葉を後ろに残して私は大慌てで帰った。りんちゃんがすぐ後ろを早歩きで追ってくる。
バス停近くでりんちゃんが話しかけてきた。
「のぞみさぁ、ココとなんかあったの?」
「んーん、何にもないよぉ」
「ならあの態度はおかしぃっしょ」
「だよね〜でもさ、明日のことココには言うなってシロップにいわれてて・・・私すぐ話しちゃうタイプだから・・・余計にきょどってるよね!?」
「シロップが?あの二人って昔何があったの?」
「知らないよ〜!私が聞きたいよ」
「ふーん・・・まぁとりあえず着替えたらすぐ来てよね」
「はーい、じゃぁまた後でね〜」


りんちゃんは素敵なブーケを作ってくれた。
黄色のガーベラがメインでうらら色だと思った。
「本当はうららには向日葵が似合うと思うんだけどさすがにまだなくってね。今度夏にコンサートがあるときは向日葵で作ってみるよ」
「うん!でもこれもすっごくかわいいよぉ!」
「これ帰ったらバケツでもなんでもいいからかならず水を吸わせてね。枯れちゃうから。それと忘れずにもっていきなさいよ!」
「大丈夫だよ〜」
「明日・・・・大変かもしれないけどがんばるんだよ!」
りんちゃんがしみじみとそんなことをいった。
「うん?応援がんばってくるね!」

翌日りんちゃんが言ったとおりブーケを忘れてしまって途中で引き返したからちょっと遅刻しちゃった。
ショッピングモールへいってランチしてウィンドショッピングしてたらあっというまに時間がたってしまった。
シロップとアイスを食べながら場所取りしてたらシロップに今日のことをココに言わなかったか言い寄られた。
「そういえば、今日のことあいつにいってないだろうな」
「ん〜私は言ってないよ?でも昨日カフェでお昼食べてたときにりんちゃんと話してたときそばにいたかも・・・」
本当のことをいえなくて、ちょこっとだけ誤魔化した。
「それならいーよ」
私たちは結構前のほうにいて、うららが会場に現れるとうららは私たちに気づいたみたい。
すんごい笑顔で手を振ってくれた。そのときワッと会場が沸いた。
あれは絶対に私たちにくれた笑顔だと思う。シロップなんかすごい釘付けで見入ってるし!
「うららに声かけていこうよ!今は無理そうだから・・・もうちょっと待とう?」
「ああ、いいぜ」
なんとなくシロップはうららに好意的だ。直感だけど。
二人で座って待っていたら後ろから声をかけられた。 
「のぞみ!シロップ!」
え?ココ?なんでこんなところにいるの?振り返るとココと一緒にくるみがいた。

ほんの少し、私は胸がちくっとした。

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