side C ナッツハウスに帰って、夕食をとった後、僕は一人になりたくて散歩にでた。 ・・・気がついたらのぞみの家の近くまで来ていた。会えるかどうかもわからないのに本当にどうしようもない。 遠目で街灯のところにのぞみとシロップがいて話しているのが見えた。 ・・・角度的によく見えなかったけど、どうしてもシロップがのぞみにキスをしているようにしか見えなかった。 気がついたら僕はシロップの腕を取っていた。 「ココ・・・・・!?」 血の気が失せたのぞみの顔なんか僕は見たくない。 「のぞみ・・・」 僕はのぞみの名前を呼ぶのがやっとだった。のぞみはシロップの背中に隠れてシロップと二言三言話したと思ったらシロップに乗って部屋まで行ってしまった。 (これは・・・決定打なのかな・・・) まるで悪い夢を見ているようだった。 その後のことはよく覚えていない。とても遠回りをしてナッツハウスに戻った気がする。 ナッツがくるみを下がらせて僕にあたたかいミルクを出してくれた。 「・・・・で?どうせのぞみ絡みだとは思うが、何があった?」 「・・・・・シロップとのぞみがキスをしているところを見た」 「・・・・・それはないな」 「なんで言い切れる?」 「なら聞くが、ちゃんとその現場を傍で見たのか?」 「いや、そういうわけじゃないけど・・・それに僕が割り込んだらシロップに乗って逃げてしまった」 「おまえは肝心なところでどうしてそんなに鈍いんだ?多分のぞみのことに関してならココよりも俺のほうがわかってると思うぞ」 「な・・・!ナッツにのぞみのなにがわかるんだよ!」 僕があまりにものぞみのことをわかってないように言われムッとした。 「のぞみがどんな気持ちでお前を見ていたかわかってないだろう」 「それは僕たちが住む場所も違うしというのは前も散々・・・」 「そのことじゃない」 「じゃあなんだよ」 「俺は学園には行っていないが、たやすく想像がつく・・・のぞみとあまり話せなくなったんじゃないか?それがいつからだか考えてみろ」 ナッツの言葉でいつだったか記憶を探る。なんとなくだが、一つの答えが見つかった。 「まさか・・・・」 「のぞみはお前が思っているほど強くない。しかも性格の強烈なライバルが現れた。そしてシロップはお前にあまり好意的ではない。俺からすれば勉強よりも簡単だがな」 「全部僕の勘違い・・・?」 「・・・かどうかは自分でちゃんと確かめろ」 「そうする・・・ありがとう、ナッツ」 「フン」 親友は相変わらず冷静で今までどれだけ僕が助けられたかわからない。どうせならもうちょっと早く言ってほしかったけど。 |